【宣伝】タスク教材のお披露目!(2020/10/25)

来週10月25日(日)にオンラインで開催される「言語教育エキスポ2020補講」というイベントで,私が微力ながら作成に携わってきたタスク教材が初お披露目されます!当日は様々な発表がされる予定となっていますが,その中の,「言語教育エキスポが自信をもって紹介する言語教育出版企画」の中のセッションで,著者全員で教材の紹介をする予定です。

教材のタイトルは,『コミュニケーション・タスクのアイデアとマテリアル−教室と世界をつなぐ英語授業のために−』で,三修社さんから出版される予定です。出版社のページには,目次と簡単な紹介が出ています。まだAmazon等には出ていないようですが,その準備も進めているとのことで,間に合えば25日までにはAmazonのページもできると聞いています(注)。

当日の発表の要旨を以下に引用します。

英語教育の現状での課題、そして妥当な目標のあり方とは──その解をもたらす一つの有効な鍵が、授業への「コミュニケーション・タスク」の導入であると考えます。そうした課題の基本的な性格をはじめ、課題の難易度の捉え方、適切な課題の選択や文法の導入方法、評価法など、書籍内の例を取りあげつつ紹介します。学習者にとってより魅力ある授業作りに役立つ「現実世界へのアダプタビリティの高いタスク」を有効に用いるためのヒント満載のブック・トークへ、どうぞおいでください。

イベントの参加申込はこちらのGoogle Formからお願いします。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdQT3W7PLyqp0rKuCUtiZYYUB1qBm-GH_IanZL4Bogx37Ij_w/viewform

私達の教材のトークセッションは15:50〜16:50の予定となっています。参加申込していただくと,主催者からZoomのIDとパスワードが送られてくるということになっていると思います。ただ,出版社のセッションは出版社がZoomのホストになるようで,私のところにもIDとパスワードが知らされてそれで入れるようになるので,参加申込を忘れてしまった!という方は当日でも私にTwitter等で話しかけていただければIDとパスワードこっそりお送りできると思います(こんなこと書いていいのかな?)。

ちょっとした裏話

著者は中部大学の加藤由崇さん,名城大学の松村昌紀さん,Paul Wickingさん,立命館大学の横山友里さん,そして,中京大学の小林真実さんです。月に一度名古屋で開かれている研究会のメンバーが中心になって,毎月1度のミーティング(計25回),そして2度の泊まり込み合宿等を経て,ようやく完成までこぎつけました。最終的に教材として掲載されるタスクを絞り込むまでに,その何倍ものタスクをそれぞれの著者が考案し,それらを相互に検討し,ボツになったタスクも数え切れないほどあります。つまり,掲載されたタスクは厳選に厳選を重ねた上で選ばれたものです。また,著者の誰かが自身の教室で実践した上で提案されていますので,そうした意味でも実践に耐えうる素材が掲載されています。ただし,著者は全員が大学教員ですので,大学の場での実践を経たということですが,この本に掲載されているタスクは必ずしも大学生向けというわけではありません。しかしながら,少なくともタスクのいくつかは難易度を調整することで初学者向けのクラスでも十分に機能するはずで,どの校種の先生方にも手に取っていただきたいと思っています。

当初は教科書の形で出版することを考えていましたが,色々あって「教材集」という形となりました。正直に言って,このタスク教材というのは私達にとってもチャレンジングなタスクでした。というのも,これまでに多くの教材集・アクティビティ集は出版されてきていると思いますし,なかには「タスク」という名のついたものもあると思います。しかしながら,Task-based Language Teachingの理念に基づき,単なる文法や文型のなどの形式の練習とは異なる目的をもった課題を中心に編纂されたものはおそらくなかったと思うのです。そのようなものは日本では受け入れられにくいのではないかという意見もありました。一方で,タスクの話をするたびに,「すぐに使えるタスクがほしい」という声も多く聞いていました。まさにTASK TALK Vol. 29「フジタクさんと語る①」の会で藤田先生がおっしゃっていたことともリンクしていて,実際にやってみて,うまくいかなかったら自分でアレンジするし,そもそも人のアイデアが自分の教室でそっくりそのままうまくいくなんて思ってない,みたいな話もあるわけです。そういう方々にとっては,それこそ「明日すぐ使えるタスクがほしい」という思いもあるだろうと。そういう声に応えるということもこの教材を世に送り出す目的だと思っています。

私としては,以前にタスクは取り入れられないなんていうタイトルのブログ記事を書いたことがあります。「明日すぐ使える」っていうのは,普段はタスク・ベースでやっていないけどタスクを「投げ込み」的にやってみたいということだと思います。私としては,それを良い授業にしていこうとすると,必然的にすべての授業がタスク・ベースにならざるを得ないのではないかと考えてそういう記事を書きました。その考えは今でもあまり変わってはいません。

じゃあなんでタスク教材集なんか出してんだよって思われるかもしれませんが,この本がどうやって世の中に受容されるかは未知数だと思っています。よって,投げ込み的にうまくタスクを取り入れた授業を展開する方もいらっしゃるかもしれませんし,帯活動的に授業にタスクを取り入れて授業を展開される方いるかもしれません。そのあたりの実際にこの本がどう利用されるかというのは,本当にこの本を手にとってくださった方々次第だというふうに思っています。私個人としては,この教材集に掲載されたタスクを自分なりに選んで配列してタスク・ベースの授業を構想して使おうと思っています。教科書が指定されていない授業を担当されている方は,そういった使い方も十分に可能です。

おわりに

といった感じで,著者の一人である私も,この新しいタスク教材というものが,日本で売れるのだろうか…というのは本当に全く予想がつきません。そんな教材集の出版を引き受けてくださった三修社の方々には本当に感謝しています。もちろん著者の一人として自信を持っておすすめできるものになってますので,こうやってブログで宣伝して一人でも多くの方のところに届いてほしいと思っています。まずは,本の内容を知ってもらうために,ぜひ25日のブックトークセッションにご参加ください。Q&Aの時間も設ける予定になっています。

また販売が開始される時期に改めて教材の宣伝記事を書きたいと思います。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

(2020/10/23追記)

注. Amazonでの予約販売も開始されています。書影も入りました。

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