以前,タスク教材集が出ましたという記事を書きました。これに関連する話です。
【宣伝】タスク教材のお披露目!(2020/10/25)
来週10月25日(日)にオンラインで開催される「言語教育エキスポ2020補講」というイベントで,私が微力ながら…
この本では,タスクそのものをタイプ別に掲載してあります。一応そのままでも授業に使えるように,デフォルトの「レシピ」的なものは書いてあります。ただし,これを使って例えば大学の90分の授業を「真面目に」成立させようと思うと,タスクの前の活動(pre-task)とあとの活動(post-task),タスクの繰り返し(task repetition)等も考えないといけないのでひと手間かかります。今年は自分が担当する授業のうちの1つでこの本に掲載されているタスクでシラバスを作ってやろうと思っています。というわけで,掲載されているタスクをレッスンプラン的なものに落とし込むようなことをやっています。
そこで,私としては最も重要視したいと思っているのが「まずはインプットから」という大原則。学習者同士のやりとりがメインだとしたら,その前にインプットをたくさん与えたいわけです(もちろんメインがinput-taskでもその前にinputがほしい)。その際に重要になるのが,教師自身がinput providerになれるかどうかということだなと感じています。教員が教室内で話す(または書く)英語が,挨拶,”Open your textbook…”みたいな指示英語,repeat after meのモデルというだけではなく,いわゆるインプットの素材として,学習者が聞いたり読んだりする意味のあるものであることが非常に重要ではないかと思っています。そして,既製の音源ではなく教師がやれば,活動の幅がぐっと広がる上に,学習者のレベルに合わせてインプットを調整することもできるわけです。授業をやっていく上でこのことの利点を活かさない手はありません。学習者に描写させるのであれば,教師自身がまず描写してみせる,というように。これって言ってることは簡単なんですが,実際にはそれなりにchallengingであり,教員のスキル(英語そのもののスキルと指導のスキル)が要求されます。そこに自信がないのであれば,自分が達成する自信がないと思うような課題を学習者に与える教員てどうなの?ってなりますよね。そこはプライドを持って教員もトライしたいところです。ただ,そういう意味でいうと,task-basedなレッスンをやるのは敷居が高いと敬遠されてしまうのも理解できるかもしれないと思ったりしてしまいました。
英語の先生になると信じて疑わなかった学部生の自分に要求できるかというと,正直難しいなと思ってしまったことも事実です。学部3年で教育実習に行ったとき,英語で授業することに非常に苦労をして自分の英語力に絶望し(もともと英語が得意だと思っていたからこそ英語教員を目指そうと思ったのに),このままじゃ自分に自信がないからと教員採用試験を受けずに学部を卒業してから北米の大学院に行って英語教授法の修士号を取り,中学校で臨時任用教員として10ヶ月勤務し,そこからさらに博士課程に進学し,非常勤講師として専門学校や大学で英語を教えました。今の職場に来て今年で4年目です。それでも,まだまだ学習者にとってベストなインプットを与えられるような授業ができているかと問われると,まだまだ改善すべき点は多いなと毎週感じます。
実際に授業をやってみたリフレクションなんかの記事も今年度は更新していけたらいいなと思います。
なにをゆう たむらゆう。
おしまい。
