ChatGPTで英語授業の教材づくりをしてみる

はじめに

ChatGPTという,OpenAIが公開したチャットができるAIがあり,話題を呼んでいます。私は,教員という立場で,これをなにか授業の準備などに活かせないかなと考えています。

ライティングのフィードバックなんかを考えたり,あるいは学生にライティングさせる際には使い方次第でツールとして利用できるかもしれないなと思います。ただし,他にも教材を作る際には結構労力がかかるもので,それをChatGPTで代替できたら結構楽かもしれないなと思いました。以下,私が試しにやってみたものを紹介します。

  1. 物語の続きを書かせる
  2. 語彙を簡単なものに書き換える
  3. 文章の書き換え
  4. オリジナルのストーリーを書かせる
  5. 文章の要約を書かせる
  6. 内容理解の問題を作らせる
  7. 内容理解問題の選択肢を作らせる

1. 物語の続きを書かせる

プロンプトを入力して,その続きとなる物語を書かせるとどうなるかやってみました。使用したのは,『Getting Things Done: Book1』のUnit13にある”Safe Driving”の冒頭です。

PDFからコピペしたので”This driver isjust”のところ,スペースがないのにあとから気づきましたが,まああまり問題になってなさそうです。

元の文章のほうがもっと面白いですが,まあ面白い物語にしてくれとかお願いするともっと違うんでしょうね。オリジナルのストーリーのcreativityにそれでも勝てるかどうかはわかりませんね。もしかしたらそのあたりはまだ人間が強いのかもしれません。

2. 語彙を簡単なものに書き換える

ChatGPTの大きな特徴として,前の会話の内容を覚えているというものがあります。したがって,一度入力したものは同一スレッド内であれば記憶されているので,”the story”とするだけでいけます。すごいですね。

夫が亡くなったというくだりが無くなっているのは,子ども向け,としたからかもしれません。

ちなみに,どれだけ簡単になったのかを,New Word Level Checkerを使って見てみると次のようになりました。参照するWord ListにはNew JACET 8000を指定しています。まずは元の文章から。

これでもほとんどはL1, L2で,L4までで96%くらいなので,そこまで難しい語彙が使われているわけではありません。では,書き換え後を見てみましょう。

書き換え後の文章はL3までで98.27%です。sawが黄色になっていますが,これはおそらくseeの過去形ではなく「のこぎりで切る」の意味のsawだと認識されているためかと思います。よって,実際にはこのパーセンテージはもっとあがるでしょうね。

3. 文章の書き換え

次は,同じ教科書のUnit20にある不動産広告の文章を書き換えたものを作ってもらいました。

2つの似たような文章を読んで,類似点や相違点を比較するようなタスクを想定しています。これも,自作しようと思えば結構難しい部分もありますが,1つの文章さえあればそれを書き換えるのは割と容易にできるようです。指示の与え方を工夫すれば,条件に沿った書き換えなどもできるかもしれませんね。ただし,仮にそうしたことが可能であったとしても違いがどこにあるのかは自分で見つけないといけなかったり,「教材研究」的な部分が教員に求められるということには変わりないでしょう。また,自分で作ればその過程自体が教材研究を兼ねることにもなりますから,機械にやらせることで自分の教材作成力を磨く機会が損なわれることにもなるかもしれません。

4. オリジナルのストーリーを書かせる

では,お題を与えてオリジナルのストーリーを書かせるというのはどうでしょう。1つ目の文章の続きを書かせるパターンに似ていますが,出だしではなくトピック的なものを与えて書かせるパターンです。

ちなみにこれも,Getting things done: Book1で扱われている話のほうがもっと面白いです。

5. 文章の要約を書かせる

要約というのは教師の英語力が問われる部分というか,そこに英語教師としてのプロフェッショナリティが求められる部分ではあります。ただ,時間がある程度かかるというのは間違いないんですよね。そこをChatGPTなら数秒でこなしてくれます。

もうちょい文構造や単語などを書き換えた上で内容を保持してほしいところはあります。要約する箇所は適切かと思いますが。

6. 内容理解の問題を作らせる

文章を入力して,その文章の内容理解を問う問題を作ったらどうだろうと思ってやってみました。

7. 内容理解問題の選択肢を作らせる

問題を作ってもらったはいいものの,選択肢がなかったので,4つの選択肢も作ってもらいました。

1と2の問題が関連しているどころか,2の正答が3の選択肢に含まれていることなど,テスティング的には全然いい問題だとは言えないですね。また,4も物語のオチを言っちゃっている上に,正答は元の文章に使われている単語そのものです。このあたりは,人間の手で修正を加えなければいけないでしょう。あるいは,人間が作成する問題のほうが(少なくともテスト問題作成に熟知した人であればですが)上だと言えそうです。テスティング・評価関係の授業で,この問題の何がいけないのか,自分ならどのように作り変えるのかなどを学生に考えさせる課題のネタとしては良い教材かもしれません。

おわりに

今回はすべて文章を扱いましたが,もちろん会話文の出力もできます。

ちなみに,ですが,ChagGPTへの指示の入力は命令文でOKです。別にCan you…?とお願いする必要はありません。その部分の書き方の違いで出力が異なることはおそらくないでしょう。ただ,細かい部分では出力されるものに違いが出る可能性はあります。そのあたりは試していくしかないでしょうね。また,もし出力されたものに納得いかなければ,違うものを出してくれます。

アクセスが混み合っているとページが表示しにくかったり,入力を頻繁に入れていると,”slow down”と言われたりします。また,今後もずっとオープンに無料で使えるかどうかはわかりませんよね。ただ,現時点では色々試して活用していけるレベルではあるのかなとは思いました。

ただし,出力されたものを見てプロダクトの質を判断する英語力だったり,授業で扱うときに注意しなければいけないポイントがないかどうかを見極める英語教師の「目」のようなものは求められるのだろうなとは思います。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

2023.03.01追記

この記事の内容に関連するトークをしたときの投影資料があるので置いておきます。上記のうち,「物語の続きを書かせる」,「オリジナルのストーリーを書かせる」,「文章の要約を書かせる」の3つに絞ってそれぞれを少しずつ丁寧に扱っています。

2023.06.27追記

画像生成AIのMidjourneyを使って視覚教材を作る,教科書本文とタスクの定義を与えて教科書本文に関連したタスクを作る,等の話と,ChatGPTのようなものが登場しても語学教師が廃業しないためには,という話などをしたので投影資料を置いておきます。

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  1. ピンバック: 2022年の振り返り | 英語教育0.2

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