構想する段階と書く段階をわける

はじめに

いままで,パソコンを開いて原稿のファイルを開く,ということを自分の書くきっかけにしてきていたのですが,そもそもそれはうまくいきづらいってことに気づけたというお話。

構想と執筆を分離する

どう書くかとか何を書くかとか構成とか構造みたいなものを考えるのと,実際に文字を打ち込む作業を私は一体化させて論文を書いてきていました(書いてきてましたと言っても全然書けていないんですが)。私が愛用しているScrivenerはまさに,『考えながら書く人のためのScrivener入門』という書籍があるように,考えることと書くことを一体化させることによって書くことを効率化させようという思想だと思います(cf. 論文執筆環境を教えてもえらえますか?特に論文執筆中に活用しているアプリやツールなど)。

生成AIが登場する前というのは考えるのも自分1人だし,書くのも自分1人だったんです(もちろん共同研究の場合は違います)。やっぱり1人だと,どんなにスマホ版のアプリがあったとしても,ラップトップ上でやっているような「考えながら書く」をスマホ版のアプリでやるには限界がありました。そうなると結局,机に向かってファイルを開く時間を取れなかったら,全然論文執筆は進まないんですよね。しかも,ファイルを開いても,「思い出す」ための時間もかかってしまうので,思い出してはまた忘れ,思い出してはまた忘れの繰り返しみたいな。

考えるのは生成AIとスマホでやる

アイデアを考える作業自体は,スマホの生成AIアプリで壁打ちしまくるのが個人的には一番しっくりきています。それなら電車の中とかお風呂の中とか,ちょっとした隙間時間にできます。そうすると,連続性が確保されていて間隔が開きすぎないので,頭の隅っこに原稿のことがいつもあるという状態をキープできます。そうすると,論文執筆についての考えが浮かびやすくなりますし,浮かんだらすぐにまた壁打ち,というループに持っていくことができます。

原稿ファイルを定期的にアップロードしておく

そうやってある程度の分量を書くことができたら,その段階で一旦ファイルをチャットにアップロードしておきます。そうすれば,あとはその原稿に書いてある内容について,そのファイルを開くことなく(スマホでファイルを開くとやっぱり見づらいです)ディスカッションすることができるようになります。こういうことをやっていると,自然に,書きたいことが頭の中に溜まっている状態になります。原稿ファイルについてのやりとりをしていたら,修正すべき箇所がみつかるとか。そういうのが見つかると,「早く修正しておきたい」っていうむず痒い気持ちになるので,パソコンに向かう時間があったらそれをとにかく早く原稿ファイル(私の場合はScrivener)に打ち込んでおきたいという気持ちになります。パソコンを開くのを待てずに,ScrivenerをiPhoneのアプリで開いてメモっておいたり修正しておいたりということもありますし,それすらも手間に思えるときはもうノートアプリ(私の場合,研究はObsidian)に生成AIとのやりとりをコピペして貼り付けておくこともあります。

他のことをブロックする

こういうことを続けていると,何か別のやらないといけないことがあっても自然と時間を「ブロック」して(cf. How to write a lot),集中して執筆できる気がしています。もちろん,「ああ,あの課題の採点がまだだ」,とか,「あのメール返してないな」とか,後回しにしていることは山程あるんですけど。それよりもむしろ,「論文書こうぜ書くなら今だぜこの熱を逃すな!」っていう気分になりやすいんですよね。というか,その気持ちを持てなかったら,一生論文は後回しで一生書かないですよね。だって,別に絶対にやらないといけないことではないわけですから。

Scrivenerは不要?

こうやって考えると,いわゆる「練る」機能が満載で,私が愛用しているScrivenerみたいなツールや,「考えながら書く」という思想自体が,生成AIというツールの登場で重要さを失ってしまったのかもしれないとも思うようになりました。練るのは生成AIとの壁打ちで済ませるのだとしたら,それこそ書くという段階では,むしろ「書くことに集中できる」というツールのほうが望ましいとすら言えるわけですからね。そうなると,それこそ論文を書くのはWordでいいし,なんならテキストエディターでもいいわけですしね。

とはいえ,完全に考えることと書くことを分離することもできません。なぜなら,書いているときに考えることもあるからです。書いているときに考えていることも逃すことなく保存しておきたいじゃないですか。そうなったら,Scrivenerまではいかなくても,書くと考えるをつなげる機能のついたアプリケーションというのは価値があるなと思います。

おわりに

この記事では,「考える」と「書く」は統合したほうがいいのか,分けたほうがいいのかということについて書きました。個人的には,分けたとしても書けるような体勢を取りつつ,書くときに考えることができる環境にしておく,というのが一番大事なのかなというのが結論です。

最近めっちゃブログ記事を書けているなという気がしているのですが,これは間違いなく,「思いついたことをメモしておく」という作業をNotionでやれているからだなと思います(できねーよと過去記事で書きましたけど以外にできている)。Notionいいぞ。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

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