スピーカーホンにするとハウリングの問題が出てきてしまいますし,それならもはやわざわざ電話じゃなくていもいいのでは?となりますよね。有料プランもそこまで安いものでもない(一番安いものでも1人につき850/yen per month)ので,このためだけに導入するというのは厳しいです。Microsoft Teamsも勤務先では使えるので,グループ通話が可能なそちらのツールを使うということも考えられます。ただ,私自身がそこまで使い方に習熟していないことと,新しいツールをさらに導入することで学生にかかる負担(アプリのDL等)を考えると,それも躊躇してしまいます。
これは,slackの良さというよりも,対面で人のスピーチを聞く課題ではないからこその良さと言えると思います。誰か1人のスピーチを聞き直したり,一時停止したりすることができるので,聞き漏らす心配をする必要がありません。もちろん,本当にスピーチを聞く際には聞き漏らさずに聞く必要があるわけなので,そこがゴールである以上はこの課題はあくまで”simplified version of the target task”と言えます。
もう一つ,自分で聞きたい人のものを,好きな順番で聞けるという意味での「自分のペース」というのもあります。これは例えばポスター発表的な形式をとると自由度が確保されていますが,全員またはグループの中で誰か1人が話すという形式では聞く側には順番を選ぶ権利はありません。これも前段の話と同様で,そもそもスピーチを聞くときに選ぶことができないのが普通なんです。そこは私も理解しています。その上で,ある程度学生側に選択が委ねられているというある種の「ゆるさ」は授業の中に持たせておきたいというのが個人的な信念です。とくに,今は状況が状況であるがゆえに,極端にガチガチのルールに縛られた授業か,そうでなければ無法地帯のように学生に丸投げされる授業に二極化しているような印象があります(あくまで印象です)。その中で,学生がsecured and comfortableな心理的状態で授業に臨むためには,学生の側に選択権がある状況というのも意味があると考えています。
5. グループの中で誕生日が真ん中の人は,会話のまとめ役です。全員が5回以上発言し,話題も出尽くしたなと思ったら,会話を終わらせます。この合図は,”Shall we invite Mr. Tamura to this thread?”です。みんなが,同意したら,私にメンションをつけて会話が終わったことを教えて下さい。”@Yu Tamura We finished!”みたいに。この投稿があったら,私が確認しに行きますので,少し待っていてください。私からOKをもらったら,グループワークは終了。この日の授業は終わりとなります。グループメンバーにお礼を行って終わりましょう。出席登録だけ忘れないようにしてください。
おそらくですが,slackのやりとりだけで1時間くらいの余裕をもたせても良いのかなと思いました。実際にやりとりが始まってから終わるまでは,平均して30-40分くらい,投稿数としてはだいたい20-30 per threadくらいでした。ただ,始まる前の時間を確保し,その上である程度余裕を持って終了するためには(そうでないとやり取りを急ごうとしてしまうので機械的に終わらせようとしてやりとりが無味乾燥になる),1時間くらいの余裕を持ってやるのがいいかもいしれないなと思いました。むしろもっと長くてもいいかもしれません。これが慣れによって改善されるのかどうかはもう少し回数を重ねてみないとわかりませんが,少なくとも30分という時間設定では不十分であることは間違いありません。
この課題に対して,いきなり”What’s yoru hobby?”とペアの相手に話しかけているペアがいたのです。私はそれを見て,「しまった。課題が正しく理解されていないぞ」と判断して,”Why are you two talking about hobbies?”ってすぐ突っ込んでしまったのです。ところが私のその投稿の直後に,メインの話題に入ろうかという言う話になっていたのです。その時に「あ,そういうことか。趣味の話はconversation starterだったのか」となったんです。その意識が自分にはまったくなかったので,反射的に流れを乱してしまったことを反省しました。ランダムに話す相手決めてるので,いきなり話すんじゃなくなにか最初にアイスブレイクじゃないけどそういう会話を入れるというのを,誰にも何も言われていないのにできるというのは素晴らしいことですよね。もちろん,そこでいきなりWhat’s your hobby?が適切なのかっていうのはあります。ただ,コミュニケーションとして大事な要素を意識してやりとりしようとしたという行動に何か水差してしまったなぁと思いました。
ほかにも,ターンテイキングも普段より難しくなることが予想されます。ビデオチャットは若干の時差がある場合もあり,それが原因で同時に話し始めてしまうというようなこともよくあるかもしれません。ただ,そういうことがまったくない状態であったとしても顔が見えないとターンテイキングはとても難しくなります。顔が見えていれば,相手が話し始めるのは口元を見ていればある程度わかります。それがないと,1対1であってもどのタイミングでこちらが話し出せばいいのかは結構難しい判断が伴います。「あ,少し間があいたからいまだ!」と思って話しだしたら,実はまだ相手は話の途中だったり,一区切りついて新しい話題を出してくるかもしれません。また,3人以上になると,「割って入る」のも難しくなります。どうしても,誰かと誰かがやりとりをしているのを聞いているばかりになってしまい,自分が会話に参加するのが難しくなるわけです。顔が見えていたって難しいわけですから,顔が見えていなかったらハードルは余計あがります。このようなことを避けようとすると,明示的なターンの移行を推奨するのもひとつの手かもしれません。意見交換だったら,自分の意見を言い終わった後に,”That’s what I think.”のように終わりだとわかるようなセリフを入れたり,あるい言い終わったら”What do you think, Ann?”のように誰かに必ず振るようにしたり,という工夫です。
なんなら私の今の在宅ワーク環境は,Mac mini, HP Spectre x360, iPad pro 10.5インチ,iPhone8 Plus,の4つのデバイスでSlackを使えるので,4組いける可能性もあります。試したことないのでわかりませんが,ブラウザで同じワークスペースに複数タブでログインして表示すれば,別に複数デバイスでやる必要もないのかもしれませんが。