
はじめに
こんな忙しいときにのんきに個人ブログなんか更新してる場合かと怒られるかもしれないですが,今このタイミングだからこそ更新したいと思った記事なので書きます。あるいは,「あれこの人躁状態かな」と思われるかもしれませんが,それでも書きます。
新型コロナウィルスの影響で,多くの大学が教室での対面式授業をやめて,オンラインで行う授業形態に移行することを表明してきています。その中で,大学教員も試行錯誤をしながらどうやって授業するか日々奮闘しています。この状況は,普段以上に自分の授業(スタイル)を見直すいい機会なのではないかという話です。
オンラインにできるものとできないもの
対面をオンラインに移行するとき,うまく移行できるものと移行できないものがあると思います。もちろん,実現できるツールの存在を知らなかったり,あるいはツールを知っていてもその使い方がわからないので,実はオンラインでも教室と同じようにできるという可能性もあります(注)。そうはいっても,どうしても教室の中でやっているようなことをオンラインではできないという場合もあるでしょう。そうした課題や活動は,対面だからこそできるものだと言えます。
オンラインでもできたらなぜ教室で?
授業の移行を考えたとき,わりと簡単にオンライン上でも同様の活動ができるということであれば,それって本当に教室の中でやる必要あるの?と問い直したいですよね。今までは教室で授業することが当たり前だったので疑う必要もなくやっていたけれど,これって教室に学生全員が揃っていて,前に教師がいて,リアルタイムで,という条件でやらないといけないことなのだろうか,と。
もちろん,例えばただの答え合わせ的な活動であっても,教室の中でやれば教師と学生のインタラクティブなやりとりから学びが生まれたり,あるいは他の学生の発言から学びが生まれることもあると思います。そうやって,何かしら学びの機会を確保しようという意図があるなら教室でやることにも意味があるでしょう。というより,教室の中で行うことに意味をもたせることができると考えたほうがいいかもしれません。
逆に,なんとなく当たり前のように教室でやっていた活動も,実はオンラインで同じような学びに置き換えられるのであれば,これからは対面授業であっても積極的にそのような活動は予習や復習としてオンラインでの授業外課題にしてしまっていいのかもしれません。
私個人としても,大学で教え始めてからは常にそういう意識でやっています。教科書に問題があり,それに学生が答える,というような活動はほとんどLMSに移行し,答えが必ずしもひとつに決まらない問題をベアやグループで考えたり,あるいは教科書の内容は理解した前提で発展的なタスクに取り組ませたりしています。
一方で,オンライン授業ではなかなかそうしたインタラクティブなペア・グループ活動をすることが難しくなります。しかしながら,発想を転換すれば,オンライン授業への移行が難しいなと感じる状況というのは,もしかすると自分の技術不足でもなんでもなく,教室という場に学生が集められ、そこで授業が行われるという環境を生かした授業を普段できているということを意味しているかもしれません。
そのことについては自信を持ちつつ,かといって「私はオンライン授業は無理です」と諦めてしまっては仕方がないので,教室での学びをどうオンラインで表現するかを考える日々になります。全く同じことをオンラインでやることは無理ですし,それは教員にとっても学生にとっても大きな負担を強いることになります。そこで大事になってくるのは具体的な課題や活動の移行ではなく,そこで学生はいったい何を学んでいるのかということなのでしょう。そうやって,具体的な活動を少し抽象的なレベルで捉えることができれば,実は一見まったく違う課題のようにみえるオンライン上での課題が対面授業の課題と同じような学びを誘発できるかもしれません。
おわりに
このように考えてみると,オンライン授業を考えるというのは,普段の課題や活動によって学生は一体なにを学んでいるのか,を問い直すいい機会にもなるなと思っています。実際は,こんなことを書きながら授業準備は一向に進まず先の見えない日々が続いているんですが。
なにをゆう たむらゆう。
おしまい。
注:ただ,何でもかんでもツールでどうにかすればよいという状況でもありません。教員側が使うツールが多様化すればするほど,学生がそのツールの習熟に費やす労力が負担になるからです。

遠隔授業に良いスクリーンレコーダーを探しています。ウインドウズで有料で良いので操作が簡単なものを教えてもらえませんか?切実です。
遠隔授業の中のどういう用途でスクリーン上の何を録画するのかわからないので難しいですが,Windows10であれば,標準でスクリーンレコーディングの機能があります。
https://www.pasoble.jp/windows/10/screen-capture.html#c2
また,今流行りのzoomもスクリーンレコーディングできますし,MS PowerPointの「挿入」->「画面録画」でもできます。
ピンバック: 2020年の振り返り | 英語教育0.2
ピンバック: 2020年度に更新したオンライン授業関係の記事まとめ | 英語教育0.2