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国際誌に通せるよう今からできることはあるんでしょうか

はじめに

Querie.meでいただいた質問に答えるブログ記事です。

質問

国際誌を主戦場にしている人たちを見ると、やっぱり国際誌にバンバン出している人たちの研究室出身なので、そういうところでちゃんと国際誌に通すような教育を受けておきたかったと思います。今からできることはあるんでしょうか。

回答

それは国際誌を主戦場にして国際誌にバンバン出している人に質問すべきことでは…というのが最初に思ったことです。この記事を読んだ色んな人が,自分の経験をこの質問者の方の目に触れるところで共有してもらえたら嬉しいです(JSLARFの方々の方を見ながら

私の大学院生時代

私は名古屋大学大学院国際開発研究科というところで博士号を取りました。私が在籍していた当時は,全然国際誌にトライしてる院生とかいなかったですし,なんなら指導教官から国際誌に通す教育とかは受けていませんでした。博士後期課程(D)の院生は基本的に独立した研究者として見られていて,学会発表とか論文投稿とかは,いちいち報告したり指導を受けたりもせずに院生同士で勝手にやっていました。

私は,1学年上に現在学習院大の福田先生がいらっしゃって,彼がトライ&エラーで国際誌投稿を色々やってる経験を間近で見て,自分も見よう見まねでやってみていました。それでも,私は,大学院生の時に国際誌に通すことはできなかったです。firstで投稿したのはたしか3回(3誌)で,3回目の投稿で何ラウンドか査読のやりとりを経て,就職してから採択が決まったって感じでした。

なので,やっぱり国際誌に投稿する経験をしてる人と話すことがとても有効なのではないかと思いますね。教育受けるとかももちろんあると思いますけど,それは学生のときにしかできないと思うので。私がD生だった時には,現在立教大学にいらっしゃる中田達也先生とたまに2人でご飯に行く機会が何回かあって,その時にいろんな投稿の経験を聞いた記憶がありますね。それから,2017年に,近畿大でやってたKELES&LET関西の大会のときに,「英語論文を書いて国際ジャーナルに掲載させるためのストラテジー」という水本篤先生と斎藤一弥先生のWSがあったのも記憶に残っています。

国際誌のハードルは高くない

まあでも,国際誌とか国内誌とかっていうのは、届けたい読者層の違いだけだと私は思っています。私個人の経験でも,国内誌でリジェクトされた論文が国際誌に採択されたことが2回ありました。なので,普通に英語の論文の形になってるものを投稿すれば,採択される可能性は十分にあるでしょう。「国際誌」といってもピンキリですし。今は雑誌の数も増えてますから,選択肢も多いでしょうしね。もちろん,領域によってはscope的に選択肢がかなり限られるということもあるでしょうけど。

一度国際誌に載ってくると,国際誌の査読者としての経験を積むことをできるようになってくる(査読の依頼がくるようになる)ので,そうすると,そこでまた投稿されてくる論文のクオリティだとか,あるいは査読でどんなやり取りがなされるのかというインプットを得ることもできます。ジャーナルによっては査読コメントが公開されているものもありますね(例:International Journal of Applied Linguistics)。そうやって,learning by doingでどんどん知識とスキルを積み上げていくものなのかなというのが私の個人的な感覚です。まあこれも自分がそうやってやってきたからっていうバイアスがかなり入ったものだとは思いますけれども。

結局はやり続けること

最終的には,どれだけ時間かかっても載るまでやり続けるだけですね。不採択になった経験は表に基本的に出てこないですから,採択されてすごいってのだけが見えてきますけど,通してる人はそれと同じ分だけ不採択の経験もあると私は思ってます。書いてる本数も違えば投稿してる回数も違うっていう。

これはよく私が引き合いに出すんですが,Fukuta, Nishimura, and Tamura (2023)という論文は,最終的にJournal of Second Language Studiesに採択されるまでに,8回リジェクトされてます。そして,最初のジャーナルに投稿してから最終的に採択されるまで,約4年4ヶ月かかりました。

Fukuta, J., Nishimura, Y., & Tamura. Y. (2023). Pitfalls of production data analysis for investigating L2 cognitive mechanism: An ontological realism perspective. Journal of Second Language Studies, 6, 95–118. https://doi.org/10.1075/jsls.21013.fuk

まあその何度もリジェクトされるような理由もあるほど「過激」なことを書いていたからっていうのがあるんですが,それでも,心折れそうになりますよね。第一著者の福田先生に,「この論文は絶対に世に出す価値があるからやり続けよう」と言い続けて,採択までたどり着きました。この経験を,いつだったか私のD生時代の指導教官の先生にお話したことがあったんですね。それで,「あの話を聞いたときに,福田くんと田村くんは絶対に(研究者として)やっていけると思いました」と言われて,それがすごく嬉しかったことを覚えています。私は博論の研究(の一部)を出版するにも最長8年とかかかってますからね。(cf. 名詞の数の処理に関する実験の論文が出ました)。まあこれは単に論文として仕上げられていなかっただけですけど。

ということで,書いて投稿する,採択されるまで出し続ける,これしかないです。

おわりに

頑張ってください。私の経験でよければ,質問があったらお答えするのでまた聞いてください。応援してます。

私に質問したい方は下記URLからどうぞ。

https://querie.me/user/tam07pb915

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。