はじめに
このたび,アルクの『Web版 英語の先生応援マガジン』で,Task-based Language Teaching(TBLT)についての連載を始めることになりました。全3回で,タイトルは「英語を『身につける』とはどういう経験かータスクから考える英語授業」です。その第1回がこのたび公開されました。登録は必要ですが,無料でお読みいただけますので,少しでも多くの方にお読みいただければと思います。
記事はこちら:TBLTとはなにか―PPP型授業との違いを整理する(https://alc-nds.com/k-alc-magazine/2026/07/task-01/)※ログイン・会員登録が必要です
「効果的だから」とは書きません
宣伝の記事なので,本当なら「TBLTは効果的な指導法です,ぜひ授業に取り入れましょう」と書くのが筋なのだと思います。でも,この連載ではそういうスタンスを取らないと決めてから構想を練り始めました。第1回の冒頭でもはっきり宣言しているのですが,「TBLTは英語力を伸ばすのに効果的なのだ」という立場から書くつもりはありません。
これは以前このブログにも書いたこと(例:『英語教育』2023年5月号記事の補足)なのですが,私にとってのTBLTは,研究によって効果が「科学的に」証明された方法論だから選んでいる,というものではありません。正直なところ,単に自分の言語教育観にマッチしているからそういうアプローチにシンパシーを感じている,というのが正しいです。
そういう「効果的」というのとは別の観点から,「タスクを授業に取り入れること」ってどういうことなんだろうということを考えたいと思っています。
じゃあ何を書くのか
その代わりに連載を通して考えたいのは,TBLTと,多くの教室でおなじみのPPP(Presentation-Practice-Production)との違いは,一見すると「授業の手順の違い」に見えて,実はもっと根っこのところにある,ということです。
形式を先に教えてから使わせるのか,それとも,使いながら必要な形式に出会っていくのか。これは単なる技術的な選択ではなくて,「英語を”身につける”とはそもそもどういう経験なのか」という学習観そのものに関わってくるわけです。そこを読者のみなさんと一緒に考えていきたい,というのが,私がこの連載を引き受けた理由です。
第1回で書いたこと
第1回では,その入り口として,こんなことを書きました。
- そもそも「タスク」とは何か(意味中心であること・ギャップがあること・学習者が自分のリソースを使うこと・言語外の明確な成果があること,という4つの条件)
- タスクを使った授業って具体的にどんな流れになるのか(プレタスク → メインタスク → ポストタスク)
- TBLTへのよくある誤解(「文法を教えない」「タスクをやらせて放任するだけ」って本当?)
なるべく抽象的な話が中心にならないよう,教室での具体的なイメージが持てるように書いたつもりです。「3つのうち1つは嘘」を質問攻めで見破る,といった具体的なタスク例も入れています。
これからの予告
第2回では,TBLTのメリットとデメリットを正面から扱います。ここが連載の山だと思っていて,そのメリットを「英語力が伸びるかどうか」だけで測ろうとすると,かえって本質を見誤るのではないか,という話をするつもりです。第3回では,日々の授業で先生方が扱う教科書を中心とした既存の教材とTBLTがどう折り合うのか,というもう少し地に足のついたところを考えます。
おわりに
依頼としては,「高校の英語の先生に向けて」と言われたのでそのイメージで書いていますが,どの校種の先生方にも,あるいはどの言語の教育に携わる先生にも興味をもっていただけるのではないかと思います。ぜひ,ご登録いただき,連載をお読みいただければと思います。また,Xで感想をポストいただいたり,あるいは,匿名の質問サービス(https://querie.me/user/tam07pb915)で感想をお寄せいただけたら嬉しいです。
なにをゆう たむらゆう。
おしまい。
