カテゴリー別アーカイブ: Querie.me

研究をしているどの段階でブレストをしますか

querie.meでいただいた質問にお答えするブログ記事です。

質問

研究をしていることが幸せで今後研究を続けていきたいけど論文を書くのが苦手かもしれないと思い始めている4月からの修士2年生です。研究をすすめていく過程には様々なフェーズがあると思われます。たとえば、実施しようとする研究について先行研究を調べていく段階、リサーチ・クエスチョンを立てる段階、検証していく段階、まとめる段階、、、 それらの中のどの段階で、ブレインストーミング(メモ用紙などに、メモったりマインドマップのようなものを作っていく作業)をしますか? 学部生でレポートを書く段階では、ブレインストーミングが有効だと感じていたのですが、大きな論文を書こうとなると、なかなか難しくなってしまい、困っています。何かお考えや、実践されていることなどあれば教えてください。

回答

端的にお答えすると,研究のタネ(ネタ)が思い浮かんだ段階でメモしているかなと思います。ただ,質問者様のような修士課程の院生が論文(学位論文にせよ投稿論文にせよ)を書くプロセスと,私が全く同じような研究のプロセスを辿っているかと言われると,そうではないかもしれないなと思うところがあります。もう少し具体的に色々お聞きできれば,また違った答えになるかもしれません。「ブレインストーミング」をなんの目的で行うのかを私がうまく理解できていないかもしれないので,的はずれな回答になるかもしれません。とりあえず,「考えたことをメモする」と読み替えて書いていきます。

博士課程の時を思い出してみる

修士課程に在籍していたときは,研究をどうやって進めていたかの記憶がほぼないので,博士課程のときのことを思い出してみます。私はEvernoteというメモアプリを使っていて,そこに研究ネタで思いついたことはなんでもメモしていっていました。もちろん,正直そんなにぽんぽんとネタが思いついたことは一度もなくて,特に博士課程に入った1年の最初の頃とかは研究から1年弱離れていたことのブランクもあって,何も思い浮かばなくて悩んでいたことをよく覚えています。とはいえ,なにか論文を読んでいたり,あるいは書籍を読んでいたりしたときに,「こういう研究できないかな?」と思ったら,とにかくそれをはメモしておく,という感じです。今は,こういう用途はObsidianを使っています(参考:過去記事)。

研究を進めていく過程

質問者様は「実施しようとする研究について先行研究を調べていく段階、リサーチ・クエスチョンを立てる段階、検証していく段階、まとめる段階、、、 」と書かれていますが,私の中では一番メモっておきたいのはここに書かれた段階の前段階ですね。そもそも,「実施しようとする研究」というのがある時点で,何かしらのアイデアがあるってことですよね?そのアイデアが浮かんだ段階でもうメモのファイル作っちゃいます。そこにとにかくうわーっと浮かんだことをなぐり書きしていきます。関連する研究を調べるみたいな段階に移ったら,そのアイデアを書いたノートの中に,先行研究を読んでまとめたメモへのリンクを貼っていってます。Aという研究はこんなことやってて,Bという研究はこんなことやってて,みたいなざっくりしたことを大元のノートに書いておくこともあれば,著者名+出版年のノートタイトルのリンクだけを並べておくこともあります。これは結構気まぐれです。あとは,ChatGPTやClaudeなどとアイデアの壁打ちをしたりしたら,やりとりの内容をざっくりまとめてもらい,それもノートの中に貼り付けちゃったりしています(一応元を辿れるようにチャットのURLも貼ってます)。正直,フルタイム院生時代と違って毎日研究のことを考え続けられるような環境でもないので,ちょっと間があくと今まで何を考えていて,次に何をしようとしていたのかとかも忘れちゃうんですよね。それを思い出すハードルがあると,なかなかその研究に戻って来るのも難しくなってしまうと。Obsidianを使う様になってからは,意識的に,その研究ノートに日記的なことも残すようにしています。例えば,「今日はXX(YYYY)の論文を読んで….みたいなことを考えた。AA(BBBB)も多分読んだほうが良さげだから次に読む」とか「実験の要因としてAとBとCを考えたけれど,AとBは一つの実験に落とし込むことはできそうだけどたぶんCは一緒にできないから,とりあえずAとBの2by2のデザインで実験項目を作ってみる」とか。そういう日記を残していると,ある程度期間が空いちゃってから戻ってきても,ああそうだったそんなことを考えていたんだったとかわかるんですよね。実験項目を作るときも生成AIのお世話になることが多いわけですけど,それも作業したその日の終わりに,「今日やったことを研究ノートに残すから,ここまでのやりとりをまとめて」とお願いするようにしています。そして,そのまとめをノートに蓄積させていきます。そうすると,実験項目を作るのにどういう条件でお願いしていたかとか,何がうまくいかなくて躓いたのかとかも全部残せます。

修士課程の院生と違うかなと思うところ

私は,いまから自分がまったく知らない領域の研究をやろうっていうようにはあんまり思っていないんですね。自分がこれまでやってきたことの延長線上かまたはその周辺のことをやろうと思っています。私は能力が高くないので,全然知らない領域の研究に取り組んで成果を出せるというようには思っていないのが理由です。一方で,修士課程の院生さんは比較的,知らないことが多い状態でスタートして,とにかく知らないことを知っている,という状態にするプロセスと研究を構想して実現するプロセスがある種同時並行的に進んでいくのではないかなとなんとなく思っています(もちろん,修士課程に入る段階でかなり明確に研究の方向性が決まっていて,それが全く変わらずに修士論文を書き上げるという方もいるかもしれませんが)。となると,そもそも研究を進めていく過程がもしかすると私と修士課程の院生さんで違うのかもしれません。その結果,ブレインストーミングをする目的やそれが必要になるタイミングも違うかもしれません。

おわりに

学位論文をどう書いていくか,そしてどのようなクオリティのものが求められるのかといったことは,正直指導教員の先生によって全然異なると私は思っています。よって,論文をどうやって書くのか,研究をどうやって進めていくのかについて,私からアドバイスするのは非常に難しいことです。この記事で書いたことは,あくまで私が「メモを取る」という行為をどうやっているのかということで,それが普遍的なわけでも,私の真似をしたら研究が進むわけでも,研究のクオリティがあがるわけでもないこと,どうかご理解ください。こういう質問も,本来なら指導教員の先生とできたらいいのになと思ってしまいます。私には残念ながら学位論文の指導をする院生はいませんが,もしそういう院生が困っていて,その悩みを匿名で誰か別の教員に聞いていたらなんかショックだなって思っちゃいますね。自分に相談してくれたらいいのに!って。なんかこういう話,querie.me関連で前にもしたことがあるような…(それ私に聞かないほうがいいのではみたいなの)。

ちなみに,私自身は,質問される方がどなたでも,こういった質問を受ける事自体は嬉しいし,喜んで答えます。こんなブログ記事で丁寧に答えてるくらいですからね。質問すんなよって思ってたらこんな回答しませんしね。

質問者様が修士論文を無事に提出できることを心から祈っています。頑張ってください。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

jsPsychで自己ペース読み課題を作りました

はじめに

querie.meで次のような質問をいただいたのがきっかけで,この記事を書いています。ただ,今回は直接的な回答をブログ記事にしたというわけではありません。

Jspsychで自己ペース読解を作りたいと思っているのですが、なかなか良いリソースにたどり着けません。 何を参考にして作成されましたか。

https://querie.me/answer/FoiIeOGRo0FxWcSAnwvx

参考までに,私が作ったものを公開しましたというお話です。

jsPsychというJavaScriptのライブラリを使って,Webブラウザ上で実験を行うことができます。私もコロナ禍以降,オンラインでできる実験プログラムの構築を色々と模索していて,様々なものに手を出したりしたのですが,最終的にはjsPsychでいくことにしました。特に理由はないんですが,コードベースだとやっぱり細かいところに手が届くっていうのが大きいかなと思います。心理学分野だと,心理学の様々な実験のサンプルを見ることができるのですが,残念ながら言語実験はあまりサンプルがないんですよね。そこで,jsPsychで私が作った自己ペース読み課題をGitHubに公開しました。

https://github.com/tam07pb915/spr-jspsych-experiment

詳しくはこのレポジトリを見てもらえたらと思いますが,補足的なことをこのブログ記事にも書いておこうと思います。

メインの部分

自己ペース読み課題にはいろいろなバージョンがありますが,私が作ったのは単語提示・移動窓方式と呼ばれるもので,一語ずつ,左から右に読み進めるタイプのものです。以下のリンクから短いデモができます。

https://tamura-jspsych-demo.netlify.app/spr-demo.html

自己ペース読み課題のトリッキーなところは,刺激は文として作るけれども,それを単語に分割して提示するっていう部分なんですよね。その仕組みのところは,

Week 4 practical | Online Experiments for Language Scientists

というページがかなり参考になりました。これをベースに,ChatGPTやClaudeに手伝ってもらいながらカスタマイズをしたという感じです。Githubには,私が実際のデータ収集に使ったフル実験のバージョンと,上のリンク先のデモ課題の2つを載せています。フル実験の方には,単なる自己ペース読み課題だけではなく,同意取得や質問紙のページがあったりします。また,異なるリストのランダム化や,途中で休憩を挟む,プログレスバーを入れる等々の違いがあります。

基本的には,

  1. 下線のみが画面に提示される
  2. スペースキーを押すと下線の1つが単語に変わる
  3. スペースキーを押して読み進めると,読んだ単語はまた下線に戻る
  4. 最後までいくと,次の画面でTrue/Falseの理解質問が出るので,FまたはJキーで回答する
  5. 試行と試行の間には「スペースキーを押して次にいってください」みたいな文言がある

という流れで進むようになっています。フル・サンプルのどちらにも練習セクションとメインタスクセクションがあり,練習セクションでは理解質問の回答に対して,CORRECT/INCORRECTのフィードバックがあります。メインタスクセクションではフィードバックはありません。

少しコードをいじれば、任意の記号(例えば”|”)で区切られた英文をその区切りごとに例えばフレーズ単位で提示することもできると思います。

全体的なこと

Firebaseとの連携

私は実験をfirebaseと連携させて,そこにデータを蓄積するという感じでデータ収集をしています。よって,firebaseと連携するための仕組みもコードの中に入っています。ただ,firebaseをどう使うのかみたいなところはウェブ上にたくさん資料が転がっているので,それを見て自分で勉強してみてくださいという感じにすみませんが今のところはなっています。

データ分析

jsPsychで得られたデータはJSONフォーマットになっています。これはそのままではデータ分析に適していないので,JSONデータをテーブルデータに変換する必要があります。これはそこまで難しくなくて,オンライン上でフォーマットを変換してくれるサービスもありますし,今なら生成AIに頼んだら多分やってくれる(またはコードを提案してくれる)と思います。とはいっても,その部分も結構大事ではあるので,一応サンプルの出力をRで読み込んで整形する過程もRmarkdownでドキュメントにしました。下記リンクからご覧いただけます(もとの.Rmdも含めてGithubのレポジトリに入ってます)

https://tam07pb915.github.io/spr-jspsych-experiment/sample-experiment/sample-data-transformation.html

使っている刺激

フル実験のメインタスク部分は,number attractionを見るための刺激文が入っていて,私の自作です(まだ発表すらできていないデータ…)。サンプルの方は,下の論文の実験1に使われた英文の一部を使っています。

Trueswell, Tanenhaus, & Garnsey (1994) Semantic influences on parsing: Use of thematic role information in syntactic ambiguity resolution. Journal of Memory and Language, 33(3), 285-318. https://doi.org/10.1006/jmla.1994.1014

理解質問は自作です(Copilotが勝手にサジェストしたものを使いました)。

刺激はコードの中に埋め込まず,別ファイルで用意してそれを読み込むという方法もあると思います。しかしながら,今回はすべてコードの中に刺激を埋め込む形にしています。Excelファイルで一般的には実験刺激は管理されるでしょうから,そこからjsPsychで扱われる形式への変換が必要です。これもおそらくはそこまで難しいことではないと思いますが,いずれRの例を作ろうと思っています。

注意点

私が公開したコードを,様々な実験に応用しようとすると,刺激の部分を入れ替えるだけではおそらくうまく動かないと思います。というのは,読み込んだ刺激の形に応じて,記録されるデータを選択しているからです。例えば,サンプルの実験では,実験要因として主語名詞句の有生性しか入れていません。1要因の実験というわけです。よって,そのサンプルコードを使って2要因以上の実験を行おうとすると,記録されるデータに反映されない要因が出てくることになります。もちろん,事後的に復元することは可能ではありますが。そのあたり,ここをいじったらここも必ず変えてねみたいな丁寧なコメントアウトまでは残念ながらできていません。ご了承ください。汎用性を意識してどんどん機能を追加して選べるようにするみたいなのはちょっと素人の私には難しいです。

おわりに

この記事では,心理言語実験で使う自己ペース読み課題のプログラムをjsPsychで実装して、GitHubに公開しましたという記事を書きました。冒頭の質問者様の役に立ちますように。自己ペース読みよりロジックは簡単ですが,プライミング語彙性判断課題のプログラムも手元にあるので,反響があればまた公開しようと思います。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

研究をして論文にするプロセスについての質問

はじめに

2025年1本目の記事ですが,例によって最近多めのQuerie.meでいただいた質問シリーズ。

質問

あけましておめでとうございます。
文法習得に焦点を当てて研究しているSLAの学生です。何か研究をして、論文にまとめていくという作業をすることに関して、2つ質問します。
【1】研究をして論文にまとめるときに、投稿するジャーナルを決めてから研究をしていきますか。それとも、研究をして、まとめきったところで投稿するジャーナルを選びますか?
↳追加で、研究がどこまでいったら、「投稿する」というレベルだと判断していますか。
【2】投稿するジャーナルを選ぶときに、SLR、SSLA、LA、などなどいろいろな雑誌が国内誌・国際誌にあるなかで、それぞれの採択難易度や、どれに投稿するのが妥当だろうという判断はどのようにされていますか?
以上の2点です、よろしくお願いします。

回答

投稿する前にジャーナルを決めるかどうか

1については,投稿するジャーナルを決めてから研究することは今はほとんどないかなと思います。院生のときは,もう研究をスタートする時点で,これはどこの学会で発表してどこに投稿する,みたいなのを最初から決めていたと思いますね。ただ,それは院生のときはかなりバラエティに富んだ種類の本当に英語教育・応用言語学の幅広い研究に手を出していたから,というのも大きいと思います。

ただ,国内の学会誌に投稿するのでなければ締切がないはずなので,どこに出すかは別に最初に決める必要ってまったくないんじゃないかなと思います。逆に言うと,締切がある場合にはまず研究をスタートするタイミングが重要ですよね。私の経験でいうと,全国英語教育学会の紀要は10月締切だったので(今は会員ではないのでもう知らないですが),構想は前年度の春休みから練っておき,新学期スタートと同時にデータ収集,分析,そして8月にある全国大会の発表申し込みが確か5月頃だったのでそこまでになんとかざっとアブスト書ける位の状態にはする->夏に発表したら10月の投稿に向けて執筆,みたいな流れがあったと思います。

私のときは院生で国際雑誌に投稿するというのはまだまだ一般的とはとても言えない時代だったので,締切のある国内誌(=結果が基本的にはすぐに出る)である程度業績を稼ぎつつ,自信がまああるやつは国際誌にトライする,という感じだったと記憶しています。その点でいえば,これは国際誌いけるぞ,みたいなのはネタの時点(あるいは結果が出た時点)で決まっていたのかもしれません。私は院生のときに国際誌に載せたことは結局なかったのですが,就職してから出版になった研究の元は院生時代のもの,というのもいくつかあります。何回か国際誌の投稿を経験して思うことは,別に国内誌よりも国際誌のほうが難しいみたいなのはないということですね。なぜかというと,国際誌もピンキリだからです。自信がなくても,あるいは国内誌に落ちても,低めの国際誌に出したら通ることもあるので。

追加の質問の,「投稿する」レベルにあるというのをどう判断するか,ですが,それも「どこに出したいか」によるんじゃないかなと思います。例えば,心理言語学系のジャーナルだと実験1つでは基本的に載らないというところもあると聞いたことがあります。あとは,もっと内容的なことでいうと,「一本の論文として一応のストーリーはできるか」が大事かなと思います。仮に結果が自分の予測していたとおりにならかなったとしても(私の場合はほとんど予測通りになったことがない),それを解釈して一応のストーリーになっていれば論文にはなるし,論文になる=投稿するレベルにある,ということだと私は思っています。

ジャーナル選びの採択難易度など

この質問者さんがもし仮に名大の方だったら,門外不出の通称「ソルジャー・マニュアル」という文章があるので,先輩に聞いてファイルもらってください。その中に「国内の主な論文投稿先リスト」というのがあって,そこに作成者の独断と偏見で判定した難しさランキングがあります。

投稿先を選ぶときに気にするのは,難易度もそうですけど,そのジャーナルのスコープじゃないでしょうか。例えば,教育に関係があるなら言語教育系の学会誌や教育系の雑誌に出すというようなことです。例えば,国内の学会でいえば,テストが関係するなら日本言語テスト学会のJLTA Journalに出すとか,コーパスが関係するなら英語コーパス学会のEnglish Corpus Linguisticsに出すとか。

横ではなく縦でみると,まずは学会誌の中でも外国語教育メディア学会(LET)や全国英語教育学会(JASELE),大学英語教育学会(JACET)は支部や地区学会の学会誌もありますよね。全国誌よりも地方誌のほうが「基本的には通す」という編集方針でやっていると思うので,よっぽどひどいものでなければ採択はされるはずです。こういう学会に所属しているなら,学部生・院生で手始めに出してみる,というのはありだと思います。研究成果をコミュニティに広く受け入れてもらいたいと思うと,地方誌に出しても…っていうところはあると思いますが,今はほとんどの地方誌がオンラインで公開されていると思うし,昔のように紙媒体だけで出版されていたときよりは引っかかりやすくなっているんじゃないでしょうか。あとは,単に自分の名前を宣伝する意味でも,もし仮に国内で大学に就職することを最終的に目指すのなら学会活動に積極的に貢献して名前覚えてもらって悪いことは一個もないとも思います。別にそれが主目的で論文書くことを推奨しているわけではないですが,学会ってそういうところもあると思うので。ちょっと脱線ですけど,名前覚えてもらうってことでいうととにかく自分のwebsite作る,researchmap登録するとかして,名前で検索されたときにその人がどんな人かがわかるようにするというのが超絶大事だっていうのは言っておきたいです。私も院生時代から自分のウェブサイト作ってました。

国際誌はもう純粋に教育系かそうじゃないかで結構分かれるような気がします。言語学系の研究ならLTRとかSystem出すのはちょっと違うかなみたいな。たぶん一般的によく言われることですが,「自分の研究と似たような研究がよく載っているところを選ぶ」と言い換えられるかもしれません。SLR,SSLA,LA(と略される雑誌はLanguage AwarenessとLanguage Acquisitionがありますが,この並びてきに後者ですかね)と並んだら,そりゃやっぱりSSLAから出すんじゃないでしょうか(私は何回か出してますが落ちたことしかないです)。そういうこと言えるのも,私が任期のない職についていて,業績競争の渦中にいないからかもしれませんけど,基本的には上からどんどん出していって,どっかで引っかかれば,っていう感じで私はやりますかね。とはいえ,例えばLLからスタートするような研究だと,「まあ通りはしないだろうけどフィードバックは仮にdesk rejectでもエディターからでももらえるし無料だしいっか」くらいの感じでやってます。SLRに通ったやつは,BLC(desk reject) -> LL (desk reject) -> SLR (major -> major -> minor -> accept)って感じでした。いやLLから出してないやんけってなりそうですが,私は初めて投稿した国際誌がBLCだったので,なんか思い入れがあってBLCに出したのですが,ダメで,「ほんならもうLLいっとけー!」ってなってLL出してダメだったって感じです。

私も国際雑誌投稿の経験がそこまであるわけではないですが,レベルが高くない雑誌のほうが通りやすいかというとそうでもないということは多分あって,そういうことを言われたこともあります。実際に,2019年にApplied Psycholinguisticsに出版された論文はそこよりもSJRのランキングでいうと下のところに出してリジェクトされたあとにApplied Psycholinguisticsに出して採択されました(最初に出したのはBLC)。

あとは原稿のタイプや語数なども考慮する要因に入るかなと思います。実験研究ならどのジャーナルでも基本的には受け付けていると思いますが,Opinion Paperみたいなやつは,その原稿の種類を受け付けているジャーナルとそうではないジャーナルがあると思います。今だと追試研究というセクションがあるかどうかというのもあるかもしれません。例えば,SSLAにはCtirical Commentaryというセクションがあり,語数はマックスで6000語です。

Critical Commentary. These manuscripts are shorter essays (i.e., non-empirical) motivated by current theory and issues in second and subsequent language acquisition or heritage language acquisition, including methodological issues in research design and issues related to the context of learning. Maximum length is 6,000 words all-inclusive (i.e., abstract, text, tables, figures, references, notes, and appendices intended for publication).

https://www.cambridge.org/core/journals/studies-in-second-language-acquisition/information/author-instructions/preparing-your-materials

SSLAのCritical Commentaryに相当するSLRの原稿タイプはResearch Notesだと思いますが,こちらは語数は4000語とかなり短めです。SSLAでいうResearch ReportsやReplication StudyもSLRだとこのResearch Notesに含まれると思います(下記引用)。

(b) Research Notes (4,000 words) 

Research notes are short reports and discussion papers of interest to the Second Language Research community. Research notes also include original research and follow the same outline as above but should be highly focused on one specific question related to SLA. Research notes may include replications of previously published studies.

https://journals.sagepub.com/author-instructions/SLR

Language Acquisitionにはこれらに相当する原稿タイプがあるかというと,Brief articlesになるのかもしれませんが,SSLAのCritical Commentaryのようなところに出して落ちたやつをLAのBrief Notesに出して受け入れられるかっていうとどうかなというところでしょうね。

*Brief articles must report original empirical findings, major theoretical advances, or crucial developments that warrant rapid communication to the developmental linguistics community. As in the main section of the journal, manuscripts on all areas of language acquisition are welcome and will be selected on the basis of sound argumentation, theoretical evidence, and methodological rigor. A submission to the Brief Articles section should conform to the same requirements as an article with the following exceptions: The manuscript should not exceed 15 double-spaced pages, including footnotes and references. Inclusion of experimental materials is not required in the manuscript, but it is recommended that published articles make their materials available for review on the world wide web.

https://www.tandfonline.com/action/authorSubmission?show=instructions&journalCode=hlac20#article-types

おわりに

こういう話も私がどうやって学んだかっていうと,身近なところで情報収集して(主に福田さんから聞いてた)ような気がしますね。本当なら,指導教官の先生とか,院生仲間(先輩含む)からこういう話聞ける環境だといいんでしょうね。あとは,たまに学会で会う国際誌投稿が豊富な方々からも国際誌の投稿・査読の経験の話なんかはよく聞いていたかもしれませんね。ぜひ,学会でそういう「国際誌でよく名前を見る人達」を捕まえて投稿経験を聞きましょう。もしも,いやそういう人たちに話しかけるのは恐れ多い,ということなら,誰にでもニコニコ対応してくれる福田さんに聞いてみましょう。あ,でも福田さんは英語教育系の学会にはいないからな…。そうだ,福田さんに会えるかもしれない学会が…!(子どもがいるから行けないかもしれないけど)

おあとがよろしいようで。

質問したい方はどうぞ。

https://querie.me/user/tam07pb915

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

専門書についても通読した方がよいですか

はじめに

Querie.meでいただいた質問シリーズ。

質問

修論をやっていて、論文はともかく専門書については、関係するチャプターだけ読むとか、関係するところをindexからさかのぼって読む、ということは多くやっています。他方で、専門書についても通読した方がよいのかな、と思うことも多くあります。何をうかがいたいかというと、①通読はどれぐらいするべきか、②通読する機会はどうやって確保しているか、③最後まで読むためのノウハウ的なものを教えていただければ幸いです。

回答

これ,矢野さんにも全く同じ質問されてましたよね…?矢野さんの回答でご自身の満足する回答を得られなかったために私にも質問されていると思いますが,さすがに質問丸コピはわざわざ答えてくださった矢野さんにも失礼ではないかと思いました(もちろん,丸コピの質問を横流しされた私もいい気はしないです)。

よって,この質問には答えるかどうかめちゃくちゃ迷ったのですが,ブログで答えることにします。普段こんなこと絶対言わないですが,この手間をかけて質問に答えることに色々思いを馳せてくださいね。

「専門書」の認識が一致しているか

まず,専門書って言ったときに,何を想像するのかっていうのは一義的に決まらない気もするので,そこから。論文との対比なので,論文以外の書物が専門書に含まれるのかな,と最初に解釈しました。そうなると,いわゆる分野をざっくり概観するような書籍,例えば私の分野であれば,Second Langauge Acquisitionがタイトルに含まれていて,大学の授業のテキストにも採用されそうな第二言語習得をある程度網羅的にさらっているような書物も含まれそうだなと思ったのです。もちろん,そういった書籍の中にもかなり入門向けのものなから,割と歯ごたえのあるものまで多少の幅はあると思います。

もし仮に,そういう分野を概観するようなものも質問者の方の「専門書」に含まれるとしたら,次のセクションをお読みください。そうではなくて,もっとトピックを限定して,そのトピックだけをかなり掘り下げて書いているような書物のことを「専門書」と呼んで質問しているなら次のセクションはスキップしてもらって構いません。

概論書は何冊でも読んでいい

ガチガチの専門書ではなく,ある程度ライト層(大学院生や学部生)も読者層として考えられているような,いわゆる入門書レベルの本(とは言っても新書とか一般書ではなく)であれば何冊でも読んだ方がいいと思います。

というのは,論文何本読んでもその分野の全体像が見えて来ないので,自分のやってる研究が全体のどこに位置していて,全体で解決すべき問題のうちのどの部分を扱っているのは論文を読んでいるだけでは把握できません。学術論文であれば,そんな広いところがイントロのスタート地点にはならないでしょうけど,学位論文になったらある程度広いところからスタートすると思うんですよね。その方がディスカッションも広がると思うし(ここは議論分かれそうですが)。なんでその研究が大事なの?とか,その研究の意義とかっていうのは,私は俯瞰的な視点からも考えられるべきだと思っています。よって,特に研究を始めて間もない頃ほど入門書読み漁るのがいいと思います。

専門書を読むかどうか

いや,入門書じゃなくて,もっと扱ってるトピックが狭い専門書のことです,ということであれば,その専門書がどんなものなのかとか,なんの目的でその本を読むのか,みたいなところも関係するかなと思います。どの分野の修士課程やられているかわからないので,例えにしっかりきてもらえるかわからないのですが、私の例でいいますね。

私は修士論文が意識高揚タスクと呼ばれる類のタスクを行うことにより、目標言語項目への「気づき」が促されるのかというものでした。このとき、意識高揚タスクが自分のフォーカスだからといって、例えばもっと大きな枠組みのTask-based Language Teachingの専門書を通読したことがない、というのはちょっと心許ない感じがしますよね。Ellis (2003)くらい読んでるだろう普通みたいな。この領域の研究をするなら,これは誰しもが読んでいるだろうみたいな専門書って割とある気がするんですよね。スピーキングの研究やってるならLeveltは絶対に読んでいるはずとか,Lingua Franceの研究やっているならJenkinsは読んでいるはずとか。とくに,複数著者がチャプターを書いているcollectionぽいものではなくて,単著または共著で一冊の本を書いているタイプのやつです。チャプターごとに著者が異なるやつだと,割とチャプターごとに話が変わるので,チャプターつまみ食い的な読み方でもいいのかなとは思うのですが。自分の領域の論文を読んでいて,多くの論文で引用されるような文献が書籍であったら,それは読んだほうがいい専門書だという気がしています。

②通読する機会はどうやって確保しているか

私自身を振り返ると,やっぱり授業のテキストとして指定されているから読むとか,研究会で輪読するから読む,が多かったかもしれません。修士課程のときは読むことしかやることがなかったというかとにかく暇さえあれば図書館に行って読むという日々だったので自分のど真ん中ではない本も読んでいたと思いますが(それこそ言語政策の本とか)。D1の時でもM生の人たちと一緒に授業とってテキストに指定された本を通読していましたし,同じSLAの授業でも別の先生が担当している授業を複数取ったりしていました(今考えると,そんな贅沢な環境にいた,とも言えますね)。

あとは矢野さんもおっしゃっていたように,仲間を誘って読書会開くのもありだし,すでに開催されている読書会に参加するのもありでしょう。指導教員の先生にそういった会の開催を相談してみるのもありなんじゃないかと思います。私がもし自分のゼミ生にそういう相談をされたら自分が忙しくてもやろうやろうってなると思います(ゼミ生を持つことが今後あればの話ですが)。

③最後まで読むためのノウハウ

これを聞くということは,ノウハウがなければ通読はできないっていうことなんでしょうかね。正直,それは知的体力みたいなものかなと思うのでなかなか難しいですね。研究者を目指していなかったとしても,本を通読する知的体力がない人よりは絶対にある人のほうが今後の人生にその力が活かせるでしょうし,それを養うのも大学院という場所かなという気もしています。

通読できないのはなんでその本を読むのかという目的がはっきりしないという可能性もありますので,その本を読むのはなぜなのか,どういうことを理解するために必要なのかを最初に明確にしてから読み始めることも有効かもしれません。

あとは,私はブログ書くというアウトプットを目指して論文や本を読んでいた時期もありました(今はちゃうんかい)。レビューのようなレベルまで行ってたわけではなくて,単なる読書感想文止まりの拙い文章でしたけど。アウトプットするために読もうとなると,自分の理解も必然的に深まりますしね。これは単なるアウトプットではなくて,誰かに見られる文章を書くというのがポイントです。自分しか見ないのであれば適当になってしまいますから。それに,業績にはならなくても自分が何からの本を読んでその概要や考えたことをまとめたものというのは,公開したら絶対に誰かに読まれてどこかで誰かの役に立つことがあると私は思っています。

おわりに

質問者の方の知りたいことにストレートに答えられているかはわかりませんが,私からの回答は以上です。修論頑張ってください。

質問したい方はどうぞ。

https://querie.me/user/tam07pb915

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

文法項目別に配列されたインフォメーションギャップ活動が載っている本知りませんかという質問(回答:知りません)

はじめに

Querie.meでいただいた質問シリーズ。回答遅くなってすみません。

質問

中学校・高校の英文法指導で、インフォメーションギャップのある活動を行いたいのですが、文法項目別にそういったアクティビティが配列されているものはご存じでしょうか? 日本語で書かれたもの、英語で書かれたものどちらもご存じでしたら教えてください。 先生が執筆されたテキストも熟読のうえ使わせていただいているのですが、タスク型(文法対応にはなっていない)ところ、まだ私は使いこなすことができていません、、、。 お手数ですが、ご回答いただければ幸いです。

回答

一言でいうと,知らないです。本屋さんに行くのが一番いいと思います。

ただ,それだけだとすごく冷たい感じになるのでもう少し。

まず,そのインフォメーションギャップのある活動をなんの目的でやろうとしてるのか考えてみてほしいです。インフォメーション・ギャップがあることをなぜ求めているのか,という点も含めて。文法指導の一貫なのはそう書かれていらっしゃるので自明として,文法知識のどの側面を学習者に学んでもらいたいのか,あるいはどういうスキルを伸ばしたいのか,というか。どの文法項目についても一律に同じようにインフォメーション・ギャップ活動を仕掛けて,特定の項目を学習者の口から頻発させたいという欲望が感じられると(質問者の方がそうだとは断言しませんが),私としてはめちゃくちゃ違和感あるんですよね。文法ってそういうものだったっけ?というか。どういうシチュエーションでどの文法を使うのか,ということを考えさせること(その逆も然り)だって,何回も口から出すことと同じかあるいはターゲットの文法によってはそれ以上に大事なはずなんですけどね。とか言っていると,亘理先生がやってきそうです。そうだ,亘理先生の文法(指導)関係の記事もぜひ読んでみてもらいたいです(最近はあんまり文法指導だけをテーマにした記事はないかもですが)。私なんかよりも圧倒的に文法指導に見識があると思います(もしかすると御本人はそういう英語教育寄りのところから今後の研究者としてのキャリアの軸足を移そうとなさっているところもあるかもしれませんが)。

文法の練習させる活動って,その文法自体の何を練習させたいのか,意味・形式・機能のどこにフォーカスさせるかも関係している話ですし,正確さに焦点をあてたいのか,あるいは流暢さに焦点を当てたいのか,という選択肢も活動の選択には関係してくるでしょう。そういう意味では,文法それ自体への理解を深める意味も込めて、The Grammar Bookを読んで、章末のアクティビティから着想を得て(そのままやるということではなく,そこをヒントにするということです),活動を設計する,というのもありかもしれません。

私自身は,もちろん環境もありますけど,なんらかの文法をターゲットにして活動しようというニーズがないので,文法項目別に並んでいる本のことはわからないです(教材集めが趣味でもないし,最近は特に英語指導に関する実践的な興味は昔より薄いです)。昔は高島先生の本とかありましたけどね(あそこに掲載されてるやつが全部面白いかは別ですが)。私が持っているいわゆるアクティビティ集(Activities for Task-Based Learning, Discussions and more, New ways in teaching speaking)を見てみても,文法項目別になっているものはありませんでした。『コミュニケーション・タスクのアイデアとマテリアル』がそうしているように,targetになりうる文法項目が書いてある,という例はありましたけど。『コミュニケーション・タスクのアイデアとマテリアル』は,書名やまえがき(本書の背景と構成,活用方法),第1部から明らかなように,「タスク」を提供しているわけで,文法指導のアクティビティ集ではありません。ただ,それぞれのタスクに「言語表現」というセクションがあり,このタスクをやるとこういう言語表現の表出が見込まれる,という記述はしてあります。その部分をp.258以降で逆引きできるようにもしています。ただし,その言語表現を使わないと絶対に課題が達成できないというものではありません。そういう課題をやることは,コミュニケーション活動を通して文法学習(指導)をすることにはならないのか,というところは意見が分かれるところかとは思いますが,私は,そういう課題を通してでも文法の学習・指導は可能だし,何ならコミュニケーション活動と文法指導を完全に分離してモジュール型のカリキュラムにしたっていいとすら思っています。

私としては,ある特定の文法(そして多くの場合その特定の文法項目は一つ)が頻出するような課題は実際のコミュニケーションとは乖離が生じる可能性が高いと考えています。というか,そのパターンで全部の文法項目の指導ができると思わないほうがいいというか,そういう発想の転換が求められるというのは間違いないと思います。

あとは,anfieldroad先生のブログを調べて探してそこからアイデアを得るというのもありうると思います。個人的には,anfieldroad先生のNewsletterに登録して文法指導関係のコンテンツを片っ端からインプットすることもおすすめしたいです。文法ターゲットにした活動って基本つまらなくなりがちなイメージがあって,変にコミュニケーション活動「らしさ」求めると特にそうなりがちなんですが,anf先生の活動は面白いなぁというのがやっぱり多いですよね。なにより,anf先生自身が「文法の練習」を面白くしたい,という狙いで構想しているのが良いです。

おわりに

あまり有益な回答できなくてすみません。

質問したい方はどうぞ。

https://querie.me/user/tam07pb915

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

乳幼児3人子育てしていてなかなか研究が進められないというご相談

はじめに

Querie.meでいただいた質問への回答シリーズです。長文の回答ではないですが,なんとなくブログに残しておきたいなと思ったのでこちらに書きます。

質問

はじめまして。私は4年前に英語教育の修士号を取得し現在4コマの大学非常勤をしている30代です。乳幼児3人子育てをしており、なかなか研究を進められません。今後、任期付きの仕事か博士後期に進むのか将来分かりませんが、いずれにせよどのように研究を続ければよいかアドバイスいただきたいです。今は大学紀要論文をなんとか書き進めてるところです。

回答

質問ありがとうございます。乳幼児3人の子育てに加えて非常勤4コマ担当されているなんて,それだけで尊敬に値します。私は育児休暇を取得して,仕事量を大幅にセーブしたうえで(継続している研究プロジェクトや学会業務はほそぼそとやっていたのでゼロにはなっていませんでしたが)子ども一人育てるのだけで精一杯ですから。

質問者の方は子育てと非常勤に加えてさらに論文も書かれているなんて,それだけで研究やってる人だと私は思いますよ。国際ジャーナル,学会紀要,大学紀要など媒体は関係なく,亀の歩みでもやり続けること,書き続けること,それ以外に研究を続ける方法はないかなと私は思っています。私も就職してから常に研究ができていないという悩みを抱えながらここまでやってきています。自分は超人ではないし,人と比べて何かに優れているわけでもないし,それでもやっていくためには,とにかく「やめないこと」それしかないなという気持ちでいます。大学院博士後期課程時代に,私の先輩はこんなことを言っていました。

研究者は自分で自分を「書けないタイプ」とみなしたら終わり

せいぜい「たくさんは書けないタイプなだけ」とか「今はまだ書けないだけ」と思うこと

このことは折に触れて思い出すようにしています。

書く,ということに関していうと,書きかけのなにかがあるならとにかく毎日そのファイルを開いて目にいれる,ということを意識しています。あとは,文献を読んでいなかったら論文を書くどころか研究のアイデアすらも浮かばないと私は感じているので,やばいなぁと思ったらとにかく読むことですよね。また,学会に行くのも自分の思考が刺激されてアイデアが浮かぶことがよくあります。そうやって,ほそぼそとでも続けていくしかないなというのが今私自身が思っていることです。子育てしながらだと,自分の時間もなかなか取れないし,決まった時間に何かをしようとしてもそれが継続して習慣的にできるようにはなかなかならないですもんね。この部分に関しては私もまだ自分の中で最適解のようなものは見つけられていません。むしろ,私のほうが3人のお子さんを育てながらどうやって論文書く時間を作っていますか?とお伺いしたいくらいです。

最後に,もし博士後期への進学を検討されているのなら、ぜひ関西大学外国語教育学研究科も候補にしていただけたら嬉しいです(宣伝)。事前の申請は必要ですが,リモート履修制度というのもありますので,遠隔地から授業を履修して課程を修了できます。

https://www.kansai-u.ac.jp/fl/graduate/

おわりに

一緒に頑張りましょう。

質問したい方はどうぞ。Xのフォロワーが1000人超えたので有料質問も受け付けられるようになったのでその選択肢も出してますが,無料でも全然答えます。有料になったら気合いがもっと入ると思いますけど。

https://querie.me/user/tam07pb915

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

高校教員から大学教員へのキャリアアップ

はじめに

Querie.meでいただいた質問への回答シリーズです。

背景は以下のツイート御覧ください。

質問

先程のtamさんの「高校教員から大学教員へのキャリアアップ」に関連するツイートを閲覧しました。

実際に大学教員と接していると高校や中学校の先生を下に見る教員が一定数いることも否めないのかなと思います。勿論、給与、専門性、働き方の面では下に見られても致し方ないこともあるのかと存じます。ですが、多くの現場の先生は目の前の生徒を思って本気で向き合っており、あえて大学教員と比べることによって中高の先生を下に見るような発言は非常に不快でした。

Tamさんの考えに本当に共感したため、送信させて頂きました。

回答

あーそういう使い方もあるのか,とまずは思いました。匿名で共感を示すために質問する,ということですよね。リプライで共感しましたって言うのもはばかられるし…みたいなこともあるかもしれませんしね。私は特に自分がフォローしている人以外からのリプライやいいね・RP等が表示されない設定にしているので(これは精神衛生上の工夫です),これまでにもそうやってリプライもらっててスルーしていることがあるかもしれません(まあフォローしている人からのリプライにスルーすることもあるんですが)。そういうわけで,こうやって伝えていただければ確実に私にメッセージは届くので,ありがとうございます。

大学教員を講師として招いて研修とか「指導」をお願いすることもあるでしょうし,小中高の教員が大学教員を上に見ているからこそ,という側面ももしかするとあるのかもしれません。それが悪いという話ではなく,どちらの立場の人にもそういう構造が無意識に内面化されているのかもしれないなと思いました。私のツイートは感情的になってしまいましたが,下記の寺沢さんのツイートは冷静な指摘だと思いました。

ちなみにですが,質問者の方がおっしゃる「給与」の部分については,平均的には大学教員のほうが上かもしれませんが,個別のケースを見れば学校教員よりも給与の低い大学教員はいると思いますし,小中高->大学で「キャリアアップ」にならず給与が下がることもありうると思います。専門性についても,どちらも異なる専門性があるので比較はできませんよね。寺沢さんが書かれているように,「研究と実践」というのはどちらに優劣があるものでもないという理念が,教育に関わっている人になら当然あるはずですから。

働き方も大学教員はみな時間にゆとりがあってということもなく,大学教員でも仕事に忙殺されている人はいると思います。「大学教員になる方法」なんて煽られて大学教員になってみたけど実際には給料も下がるし仕事量も膨大でやりたい授業もできず,みたいな大学にしか就職できないっていう可能性だって全然あると思うんですよね。そうなっても,煽った人は何も責任取ってくれませんからねぇ。とはいえ,私も教員養成課程の学部生だったときには無邪気に大学教員にあこがれていて,『大学教授になる方法』という本をゼミの先生に紹介されて読んだ記憶もあります。

実務経験は大事な一側面ではあるでしょうし,学生によってはそれが説得力を持つものだと認識する側面というのはあるでしょう(最近そんなような話を聞いたばかり)。ただ,自分の経験も話すだけの授業じゃ大学の授業じゃないでしょう,っていうツッコミもありうると思いますし,大学で教えたいとか教員養成に携わりたいみたいな気持ちだけで「良い」大学教員になれるかというと,必ずしもそういうわけではないかなという気持ちもあります。英語の授業をする,ということについてはもちろんどこでやろうが一定程度共通する基盤の能力みたいなもあるでしょうけどね。

おわりに

本題と関係ない話をつらつらとしてしまいましたけど,もうちょい自分の中でも考えを整理したいなと思う話題だっていうことがブログに書こうとして初めてわかりました。こういう機会を与えてくださった質問者の方に感謝しています。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

業務量が多くて自分自身の求める授業ができないので教員辞めたいですというご相談

はじめに

Querie.meでいただいた質問シリーズ。今回は,質問というより相談という感じですね。

質問

4月から高校の教員になりました。もう辞めたくなるくらい業務量が多いです。自分自身の求める授業が校務分掌、クラブ活動、事務作業によってできていないです。もう辞めたいです。。。

回答

まずは,4月から教員になることができたこと,おめでとうございます。「自分自身の求める授業」をお持ちだというところから,きっと教員になりたいと思ってなられたのだろうと推察します。最初は何もかもが初めてのことだらけなので,力の入れどころ,抜きどころ,もわからないのでアップアップになっちゃいますよね。

理想も大事だけど続けられることのほうが大事

理想を追い求めることは重要だとは思いますが,持続可能性の方がもっと大事だと私は思っています。授業準備の時間が少ないということはそれはそれで学校教員の労働問題として大事なことではあります。そうではあっても授業以外の仕事も教員の仕事ではありますよね。授業以外の時間を効率化して授業準備にあてる時間を最大化することを考えると同時に,自分のQOLを維持しながらどういった授業が可能だろうかと考えることも大事になってくるのではないでしょうか。

自分をすり減らして数年間だけ理想の授業をやってやめてしまうよりも,自分の環境の中でできることを退職まで数十年続けるほうが,結果的にはより多くの生徒にポジティブなインパクトを与えることができると思います(もちろん,自分の授業が必ずポジティブなインパクトを与えるとは限らないわけですけど)。

こだわるポイントを絞る

質問者の方がどのような環境で働かれているのか等はわからないので具体的なことをアドバイスしたりはできませんが,目の前の生徒に向きあうことだけはやめないとか,何かこれだけは…という部分を自分の中で決めてみてはいかがでしょうか。授業でも,例えば何か一つここだけはこだわってやろう,と決めてみるとか。全部が全部完璧に,というのはなかなか難しいですし,仮に他の業務に忙殺されていなかったとしても,理想の授業ができるとも限りません。また,理想の授業というのも経験を重ねるうちに変化していくものだと思いますし。

自分に課すハードルが高すぎることが自分を苦しめてしまうということもあると思うので,それを下げてあげることで楽になる部分もきっとあります。それは自分を甘やかすこととは違うことです。これは個人によって考え方も違ってくるのでそれが正しいとかではなく私はこうしているっていうことなんですが,先のこととか大きいこととか,そういうのではなく,目の前の,小さなことをクリアしていくことを意識してみてはいかがでしょうか。「理想の授業」がどんなものかはわからないですけど,きっといろんなことがその中には詰まっていると思います。それを一旦バラバラにしてあげて,その小さなことを意識してみるというんでしょうかね。そういうのを続けていく中で,自分のパフォーマンスもあがっていくし,自分自身も成長できると考えています。

そんな要素還元主義的な考えで授業が成り立つわけないと思っていらっしゃるとしたら,うーんまあそういうこともあるだろうけどね〜って感じなんですけど。仮に真の現実が要素還元できないような複雑なものであったとしても,人間が理解して,そして生きやすいように要素に分けてあげることは全然アリだと私は思っています。

周りに頼る

これは私自身も超絶苦手なことなので,誰かに言えるようなことでもないのですけどね。力を抜いて周りにも頼りながらやってみてはどうでしょうか。学校は組織ですから,授業も,校務分掌も,クラブ活動も,事務作業も,周りとつながりながらやっていくとバランスが取れるんじゃないでしょうか。それができたらわざわざ匿名で私のところに質問を送ったりしないとは思いますけど。同じ学校の中で悩みを共有できる人がいなかったとしても,一歩外に出れば,それこそSNSでもいいですし,学会とか研究会みたいなものでもいいですし,学校の外に出ればいろんなところで自分を支えてくれる小さなコミュニティに出会うことができると思います。その一つの手段として私に質問を送っていただけたのなら,それはとてもありがたいことです。もしまた何かあったら質問していただければと思います。

おわりに

質問者の方と同じようなことを感じている人も他にもいるかもしれないなと思うので,そういう人たちにも届いてほしいなと思います。

なにをゆう

たむらゆう。

おしまい。

リサーチ・クエスチョンの見つけ方

はじめに

Querie.meでいただいた質問シリーズ。

質問

文法習得にフォーカスするSLAの研究で、自分のリサーチクエスチョンに至るには、先行研究を読んでまとめることを繰り返して、そのまとめたものから、リサーチ・ギャップを見つけるというかたちで進めればよいのでしょうか。 4月から進学する学生なのですが、「これまでに何がわかっていて、何が課題なのか」という部分をまとめるのがすごく苦手な気がしていて、お尋ねする次第です。アドバイスをよろしくお願いします。

回答

おっしゃられている方法(「先行研究を読んでまとめることを繰り返して,そのまとめたものから,リサーチ・ギャップを見つける」)は,文法習得とかSLAとか関係なく大事なことなのかなと思います。リサーチ・ギャップを見つけてそれを埋めるより,既存のリサーチの前提を問い直す研究の方が本当は大事なことなんですけどね(参照:『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方』)。「進学」が修士課程への進学だとしたら,そういう研究をするのはかなりハードルが高いので,個人的には目指さなくてもいいと思います(もしできるのならそれは素晴らしいこと)。もし博士課程に進学されるのなら,単なるギャップを埋める研究ではなくもっと野心的な研究に挑戦してみてください。

あとは,個々の論文だけ読んでいても、いわゆるbig pictureというか,それがより大きな領域・分野のどういうところに貢献するのか,みたいなことがわからないままになってしまうと思います。だからこそ,いわゆる教科書的な本は何冊でも読んだら読んだだけ得るものがあると私は思っています。

「これまでに何がわかっていて,何が課題なのか」というのは,たいていの場合論文のイントロに書いてあると思います(私は少なくともそういう意識でイントロを書くようにしています)。イントロがなく,いきなりliterature reviewから入る論文でも,本研究に入る前のところで,研究の意義とか目的みたいなものを書いているパラグラフがあると思います。それが,「これまでに何がわかっていて,何が課題なのか」に関係していますよね。

また,「何が課題なのか」については,論文の最後の方,”future directions”てきなのが書いてあるパラグラフがあると思います。あるいは,limitationsの部分に,今回の研究の限界が書かれていると思います。その限界というのは,今後の課題につながる部分でもあるはずですよね。例えば,今回の結果Xの効果が見られたが,実際にはこういう実験をしてみないとYの影響がある可能性もある,というような話があれば,「こういう実験」というのが次にその領域でやるべきこと,でしょう。そういうののなかで,自分がやってみたい,と思うことがリサーチクエスチョンになるんじゃないでしょうか。

私の場合は,修士論文も博士論文も,「なんかこれおかしくない?」みたいなのが動機というかスタート地点でした。修士論文のときは,読解中に線引いたらそれすなわち”noticing”みたいになってるけど線引いたときに何考えてたかわからなくない? -> 刺激再生法でインタビューしてみよう,みたいな感じでした。博士論文は,複数形形態素の習得ではよく数の一致現象が取り上げられるけど,数の一致は処理が複雑だから,それができない=複数形形態素の習得ができないとかそういうことじゃないんじゃないの? -> もっとダイレクトに複数形形態素とその意味のマッピングを「習得」と定義して,そのマッピングを調べる実験をやってみよう,みたいな感じでした(参照:Tamura, 2023)。

所属する研究科や指導教員の先生のやり方等もあると思うので,そういうのを入ってから学びながら,という側面も結構あると思います。こうやってリサーチ・クエスチョンを立てなさい,というような具体的な指導があるかもしれませんしね。上で書いたことはあくまで「私はこう考えている」ということなので,大学院に入ったら実際には私が書いたこととは全然違ったみたいなこともあるかもしれません。そこはご理解ください。

ちょっとした昔話

最後に,ゼミや授業その他でいろんな論文や研究について色々ディスカッションする中で研究のアイデアが生まれることもあると思います。私が大学院(博士課程)のときは,喫煙所でいくつものアイデアが生まれたような記憶があります。

今でもすごく自分の記憶に残っているのは次の研究です。

Nishimura, Y., Tamura, Y., & Hara, K. (2017). How do Japanese EFL learners elaborate sentences complexly in L2 writing? Focusing on clause types. Annual Review of English Language Education in Japan, 28, 209–224.

2017に出た論文ですが,2016年にやった研究だと思います。草薙さんや福田さんという私がすごくお世話になった先輩が名大からいなくなって,自分が引っ張る立場になりました。そんなとき,後輩の西村くんと帰り道に理系の方の喫煙所に寄って,研究の話をしました。彼は当時から統語的複雑さというものに興味を持っていました。そこで,統語的複雑さの指標(節の数とか従属節の割合とか)があがったさがったとか,そういうのよりも,「どうやって統語的に複雑な文を書くのか」に注目したらどうかという話になりました。普通にライティングをさせてもそこまで複雑な文は出てきませんし,明示的に複雑な文を書いてください,と指示しても,その指示の中に複雑な文の具体例を出さなければならず,実験としては成り立ちません。そこで,6コマ漫画の描写課題で書ける文の数を制限させるという条件を課すことで,限られた文の中に多くの情報を詰め込まなければいけない状況を生み出しました。「一番複雑な文を書く大会」というプロジェクト名で,もう一人の後輩(原くん)も誘って3人で研究をしました。中部地区英語教育学会で発表して,全国英語教育学会紀要に投稿し,無事採択されたというわけです(引用されたことないんですけどね….)。

こんな風に,誰かと話している中からアイデアが生まれて,それが研究になる,ということもあると思います。もちろん,こうやって形になった研究なんてほんの一部で,考えていった結果としてこれじゃ研究にならないな,といわゆるボツになったものも数え切れないくらいあると思います。進学される大学院にフルタイムの学生がたくさんいて,毎日毎日研究の議論をたくさんする,というような環境ではないかもしれません。そんなときは,研究会や読書会に参加したり,学会に参加したりしてみると,そういう議論の機会も得られると思います。

おわりに

4月からの大学院生活,楽しんでくださいね。応援しています。

質問したい方はどうぞ。

https://querie.me/user/tam07pb915

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

「教師の職権濫用では?」というご相談

はじめに

最近なんか連投してますね。質問コーナー。

先生たちが職権を濫用し、講義を好きなようにすることができる事に腹立たしく思ってしまいます。教員が職権を濫用している例として)休講の場合、必ず補講を入れるべきであると思いますし、それができないのであれば、一講義の授業分のお金を返金することが普通であると思ってしまいます。学生がレポートを書く時間や最終プレゼンの練習に一講義の授業を全て費やす先生もいらっしゃいますが、それもどうなのかなとも思ってしまいます。この考え方っておかしいでしょうか?

回答

おかしいとは思いません。すでにそのようにされているかもしれませんが,補講の問題を解決したいと考えているのであれば,ご自身の大学のしかるべき部署に連絡した方が問題が解決される可能性が高いと思います。後者の授業形態の話は担当者に直接伝えるのが良いかと思います。実際に直接伝える機会がなくとも(あるいはそれが難しいと感じられるようであれば),授業評価アンケートなどで学生から意見を送ることはできると思いますので。

休講に対する補講

さて,休講に対する補講ですが,これが職権濫用と言えるかはともかく,休講の補講をしないのは良くないですね。私が関大に着任して学務委員をやっていたときには,休講の場合に補講してるかチェックした資料が会議に出ていたような記憶があるので,組織によってはそこを徹底していると思います。お金を返せという気持ちはわかりますが,授業料を返すというのは難しいでしょうね。1講義いくら,という形で授業料を払っているわけではないので,1コマ分がいくらという計算ができないでしょう。

授業中にレポート書いたりプレゼン準備したり

学生がレポートを書く時間やプレゼンの練習というのは休講の補講とまた違うレベルの話かなと思います。授業形態の話なので,こちらはより教員個人の裁量が大きいと思います。授業の中で書いたり準備をする時間を取ることに意味があるならともかく,質問者さんがこういうことを私に問うということは,受講者の中にそのように感じられていない人がいるということですね。教員の説明不足か,活動の組み方が有効ではないのでしょう。

私は,英語ライティングの授業で,授業内に書く時間を取っていました。それは,その授業の中で書いている途中に即時フィードバックをするためでしたね。書いているその場でフィードバックがもらえる,ということに学生側のメリットがあるということでそのようにしていました。
個人的には,授業形態は学生も関与できる部分だしどんどんしていいと思っています。教員が全べてを決めるのではなく,学生とともにいい授業を作っていく,つまりある程度の教員側の権威を手放す勇気が求められていると思っています。学生側の要求がすべて認められるべきとかそういうことではなく,学生の要求を教員が検討し,妥当であれば授業にそれを反映させる,ということをしてもいいと思うし(逆に言えば妥当ではないと考えるのであればそう説明すればよい),それは学生側の権利でもあるよな,ということですね。

おわりに

個別具体的な事情が色々あると思うので,質問者の方からの断片的な情報だけでそれぞれのケースについてなにか言うことはできないと思っています。したがって,上に書いたことはあくまで一般論として,休講したら補講すべきだし(そういう運用になってる大学がほとんどではないかと),授業形態や授業の活動に対して学生が不満に思う現象があるのであればそれはうまくいっていないので何らかの形で改善が必要だろうと思う,という話でした。

質問したい方はどうぞ。

https://querie.me/user/tam07pb915

なにをゆう

たむらゆう。